生後9~10か月ごろは、新しい世界に一歩踏み出していく時期といえます。つかまり立ちやハイハイなどの運動機能の発達具合、歯の生え具合、喃語(なんご:バブバブ、ダーダー、マンマンマなどの言葉)、離乳食の様子などを診させていただきます。また、体が倒れそうになった時に手を伸ばして体を支えようとする「パラシュート反射」のチェックや、予防接種の進み具合なども確認します。この時期の健診で、視覚や聴覚などの先天的な病気が見つかる可能性もあります。また、行動範囲が広がり、何かを誤って口に入れてしまったり、火傷や転んだりと、けがや事故の危険度も高まります。十分気をつけましょう。
健診アンケート(問診)
お座り、ハイハイ、つかまり立ちはどの程度できるか。バイバイしたり、物を掴んだりできるか。「マンマンマ、ブーブー」などの言葉を話すか、などをおうかがいしていきます。また、お母さんの育児負担の程度などについてもうかがいます。予防接種の進み具合も一緒に確認していきましょう。
事前に4か月健診の際にもらっている乳児後期健診質問票(3枚綴りの用紙)をご自宅で記入してきていただけるとスムーズです。
身体(体重・身長・頭囲、胸囲)測定による発育チェック
体重、身長、頭囲、胸囲を測定し、成長曲線と照らし合わせながら、成長度合いを確認します。
全身の診察(内科健診)
内科的な健診を一通り行います。肌の血色、皮膚に問題はないか、斜視はないか、後ろから呼んで振り向いてくれるかなどを確認します。胸の音やお腹の診察、男児の場合は、精巣がちゃんと降りてきてるか、2つ触れるかをチェックします。股関節が左右差なくしっかり開くかもチェックします。
発達のチェック
姿勢・運動の確認
支えなしでのお座り、手と膝での四つん這い、つかまり立ちなど、これらがどの程度できているかを確認します。また、物を指でつまんだり、掴んだりする機能もチェックします。
神経学的な発達確認
座った状態で左または右に倒すと、倒れる方の手を伸ばし、手を広げて床面につけます。これを側方パラシュート反射といいます。前方パラシュート反射は、うつ伏せで抱き上げ、頭を下にした状態で急に落下させるようにすると、両腕を伸ばして両手、指を開いて体を支えようとする反射です。
これらのテストで転んだ時にちゃんと手が出るかをチェックします。
精神発達・社会性・行動発達の確認
「視線は合うか」、「目で物を追えるか」や、「バイバイ」、「パチパチ」などを真似できるかといったことをチェックしていきます。
相談と指導
栄養相談をはじめとする育児全般の相談、生活指導、事故防止の指導などを行います。
乳幼児健診は、専門家に相談できる貴重な機会でもあります。受診前には現在の成長過程を把握し、ふだん気になっていることや、育児への不安やストレスなどを母子手帳に記載しておきましょう。
実際の健診の場になると、相談したかった内容を忘れてしまうことも少なくありません。事前に内容をまとめておくことで、ご自分でも状況を把握でき、健診もスムーズに進みます。